2006年07月12日

関大「地区再生」課題 第7回(最終回) 2006/07/12 wed

最終ジュリー:提案内容をA1-4枚以上と模型にまとめ、パワーポイント(5分)で発表する。(内容に必ず中間ジュリー1<地区分析+発見した問題テーマ>を含めること)

最終講評会。 
7週間の成果が教授陣や友達から「評価」される瞬間。

ここで私個人の「評価基準」をご紹介。 
この課題に限らず、ゲスト・クリティックとして呼ばれた時なども含めて多くの場合、
1.テーマ設定。(50点)、 2.設計内容。(30点)、 3.表現。(20点)
という切り口と配分(合計100点)で見るようにしている。

1.テーマ設定では、対象を深く掘り下げて捉えようとしているか、自分達の頭で考えたオリジナリティのある提案になっているか、ストーリーに説得力・納得感はあるか、あるいは、社会的な視点を備えているか、などを見る。
2.設計内容では、課題に対する答えになっているか、建物として(地区として)成り立っているかどうか、ちゃんと設定したテーマを形態に翻訳できているか、などを見る。
3.表現では、まず理解可能かどうか、自分達がやったことを伝えられているか、小手先のテクニックに逃げていないか、伝えるべきことは何かを真剣に考えているか、効果的な表現方法をいくつも試行錯誤した結果としての表現になっているか、美しいか、訴えかけるようなものになっているか、という視点で見る。

テーマ設定に50点を配分しているのは、結局、どんなにパッと見に良さげな提案をしたところで、提案の根っこの部分にあたるテーマ設定がおろそかでは良い提案であり得るわけがない、という考え方に基づく。 特に、学生の間はこの部分の訓練に重きを置くべきであって、多少モノとして成り立ってなくても、表現上のテクニックが稚拙であっても、構わない。根っこがしっかりしていれば自然と伝わるものになると思う。 
逆に、上っ面だけ良さそうに見えても根っこはすっからかんの上っ面くん提案は、なぜそれを作っているのか、なぜそんな提案をしているのか、というシンプルな質問に全く答えられない場合が多いため、やはり評価するわけにはいかない。 ちょうど、地盤や基礎工事を手抜きして、その上にそれっぽい住宅を建てた場合と同じようなもので、危なっかしくて住んでられない、と僕は考える。 

上記の「評価基準」は、「自分」の好き嫌いを中心とした主観でもって「評価」を行うのは如何なものかと思い、なんらかの形で客観的絶対評価基準を作ってみようと僕自身が自分で考えて組み立てたものである。 完成度が高いとはあんまり思ってないが、いまのところ自分自身に対する説得力・納得感は比較的高い。 
若干オーソドックス過ぎる感もあるので、また組み立て直そうかとも思っているが、その場合、「表現」という切り口を中心に展開していくだろう。 要は、どんなにすごいことを考えていても、表現しなければ何も考えていないのと同じである、という視点である。 どんなにすごい表現をしていても、深く考えていなければ評価に値しないという上述の「評価基準」とは正反対のようにも見えるが、おそらくこの2つの立ち位置は根本的なところではつながっていると思う。

ともかく、学生の皆さんには、一度自分自身で「評価基準」を組み立てるということをお薦めしたい。
上のように、定性的な絶対評価基準を組み立てようとする試みは、課題というものを別の視点から捉えることが出来、良い訓練になるだろう。
また、もっと簡単に、「友達のBさん・Cくんより自分の提案の方が良いと思う」という相対的評価も悪くない。むしろ、こちらの方が一般的である。 この場合はなぜそう思うのか、どこがどのように良いのか(悪いのか)という理由を明確にしようと試みることで、次のステップにつなげることが出来る。
そして、相対的評価基準の中で、最も基本的なのはやはり過去の自分自身という基準だと思う。教育や学習は基本的にプロセスで評価すべきであり、各人がそれぞれどれだけ頑張ったか、成長したかが問われるべきだと考える。 

以上、皆さま、7週間よく頑張りました。
お疲れ様でした。

投稿者 Kohei_Kashimoto : 2006/07/12 Wed 23:06

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