2009年08月31日

最高裁判所裁判官国民審査 試案

 小選挙区の候補者名を投票用紙に書き込んで投函した後、比例代表区の投票用紙と共に渡されるもう一枚の紙。 見たことも聞いたこともない人の名前がずらっと並んでいて、その上に「×」をつけろって言われても、そう無責任に出来るものでもない。 なんなんだろう、この「最高裁判所裁判官国民審査」って?と、今まで何回となく疑問に感じたので、今回は少し真面目にやってみた。以下、試案。

■ 最高裁判所判事国民審査 審査方法 試案

・まず誰が審査対象者かを確認する。(今回は9名。)

 最高裁のサイトを見れば当然トップページに出ているだろうと思ったが甘かった。 
 「Yahoo!みんなの政治」に、見やすいリストが載っているのを発見する。 

・各審査対象者が最高裁判事として適正か否かを、適正に判断する方法について考える。
 年齢や経歴は短時間で読めるが、それだけで判断するわけにはいかない。
 「Yahoo!みんなの政治」の各審査対象者欄には、「みんなの評価」というのがあるが、これも評価者の主観の蓄積なので、自分自身の判断根拠とするには、やや抵抗を感じる。
 結局のところ、各人が、最高裁判事として担当した事件で、どのような判断を下したかを知るために、判決文を読むのが正攻法である。
 そこで、各裁判官が担当した裁判のリストを入手する。

「Yahoo!みんなの政治/国民審査トップ」 
>各裁判官欄の「詳細を見る」をクリック。
>略歴欄の「詳しくは最高裁判所ホームページへ(外部サイト)」をクリックして、最高裁判所の各裁判官の紹介ページへ。
>各裁判官紹介ページの一番下部の「◆最高裁において関与した主要な裁判(平成20年、平成19年、平成18年)」をクリックして、担当裁判リストを確認する。

・この段階で、審査対象者9人のうち「◆最高裁において関与した主要な裁判」リストがない人がいることに気づく。平成20年9月以降に任命された裁判官は5名。
 基本的にこの国民審査は信任か罷免かを投票するものである。 着任1年未満で担当裁判件数が少ない段階では、信任・罷免を決めることはいささか困難だ。若干の疑問を感じながらも、審査対象者を4人に絞る。

・「事件名・事件番号 裁判年月日・法廷」、「判示事項」、「結果」、「意見」欄のうちの「意見」欄に注目する。この欄の内容は基本的には、「全員一致」、「多数意見」、「反対意見」の3つ。反対意見(=少数意見)の場合は、判決文に意見表明が出来る仕組みになっている。要するに、これを読めば各裁判官の個人としての主張を把握することが出来る。当然、「反対意見」を表明している裁判の数は、各裁判官そんなに多くない。9人を4人に絞って、その4人がそれぞれ「反対」している裁判となると、全部で10もないくらい。
 これだけ絞り込めば、なんとかざっと読むことが出来る。

>「反対意見」を表明している「事件名・事件番号」をクリックする。
>「最高裁判例」ページが開くので、最下部の「全文PDF」をクリックして開く。
>裁判の内容を確認の上、「反対意見」の部分を熟読し、各裁判官の主義主張を見極める。
>「×」をつけるべき裁判官は、いるのかいないのか。いるなら誰かを決めて投票所へ向かう。

 以上が、審査方法試案であり今回実際行った方法である。自分なりには結構正攻法で行ったつもりなのだが、まだまだ完璧とは言えない。このやり方だと着任してすぐ衆議院選挙を迎えた裁判官にとって有利となってしまう。次回に向けての検討課題。 ちなみに、審査は裁判官任命後、最初の衆議院選挙時に行われ、さらに、10年経過した後の衆議院選挙時に再び審査が行われる。 今回の対象判事の年齢は62~67歳。70歳定年。

以下、引用。

<国民審査>最高裁長官と8人の判事全員が信任
8月31日13時8分配信 毎日新聞
 総務省は31日、衆院選とともに投票された最高裁判所裁判官に対する国民審査の結果を発表した。審査対象になった竹崎博允(ひろのぶ)最高裁長官と8人の判事全員が信任された。有効票に対する罷免を求める率(罷免率)はほぼ前回並みの6.00~7.73%だった。
 投票者数は前回より200万7404人多い6945万4375人。投票率は前回を1.33ポイント上回る66.82%だった。衆院選の「1票の格差」を巡る07年の最高裁判決にかかわったのは9人のうち3人。この中で合憲とする多数意見を出した涌井紀夫裁判官が罷免率トップに、同じく合憲とした那須弘平裁判官が2位となった。罷免率が50%を超えると罷免されるが、過去に例はない。
 一方、法律で国民審査の期日前投票の期間が投票日7日前からと規定され、衆院選より4日短いため投票できなかった有権者もおり、投票率は衆院選小選挙区(69・28%)より2ポイント以上低かった。衆院選と同時の審査とあって、実績がない裁判官が任命後間もなく審査対象となることを含め、制度上の問題も指摘されている。

 さて、上記のプロセスでいろいろな発見があったわけだが、中にはびっくりするようなものも。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090203172548.pdf 
 ちょっと面白いぞ、この裁判。

投稿者 Kohei_Kashimoto : 2009/08/31 Mon 23:52

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